禍福はあざなえる綱のごとし


 小社は出版社であるが、例えば年に一度の有機農業祭である生命のまつりなんかに出店している。
 そんなとき、最近では本を陳列する台の前に「自然とともに生きる 南方新社」と大書きした旗を飾る。黄色に赤、目立つ旗がとても気に入っているのだが、悩ましい事件があった。



 この旗、もとは新入社員・大内の父君が厚紙で作ってくれたものだった。それを、持ち運びが便利なように、布製にしようと思い立ったのだ。

 旗作りをしている高校の同級生に、予備を入れて3枚作ればいくらになるか、見積もりを頼んだ。3〜5枚で1万5千円とFAXが来た。原版を作って布に印刷するわけだから、3枚でも5枚でも手間は変わらない、なんて良心的なんだ、と、3枚あれば十分だったのに、「お言葉に甘えて5枚」と、言葉を添えて返信した。

 1週間ほどで送られてきた5枚の旗を開いて大満足。スタッフともども、わいわい騒いでいた。ところが、同封されていた請求書を見て、目が点になった。8万1千円!
 単価が1万5千円の5枚で7万5千、プラス税とある。こちらはてっきり全部で1万5千円と思っていたからショックが大きい。慌てて見積書を見返してみると、確かに3〜5枚、1万5千円とあるのは単価の欄。なんてこった。早とちりだ。同級生に電話をして事情を話したが、負けてくれたのは5千円ぽっち。ガックリ。

 それから坂を転げるように散財が続いた。パソコンが壊れて14万、車が故障して5万、単車もパンク。麻雀では大負け続き。旗事件からわずか20日ほどの出来事だった。

 だが悪いことも長続きはしない。ショックが和らぐとともに運気も上がっていった。

 先ず麻雀の負けを取り戻す大勝が、3回続けて来た。次いで夏過ぎに出した『原発に侵される海』が南日本新聞の書評で紹介された。書いてくれたのは、京大教授の加藤真氏だ。お会いしたことはないが、小社刊の本にもしょっちゅう登場してくれる大御所だ。「原発の温廃水が海の環境に与える影響について詳述したほとんど唯一の書籍である」と、こちらの一番言いたいことを書いてくれている。

 数日後には、これも辺野古沖の世界的生物多様性を写し撮った本『大浦湾の生きものたち』が、朝日新聞の夕刊1面トップで紹介された。注文が増え正月前にいいお年玉になったと喜んでいたら、そのまた数日後には、なんと朝日新聞の社説に紹介された。


 これほどの振れ幅は経験したことがない。縄ではない。禍福はあざなえる綱の如し、だ。

  

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鹿児島市の郊外にある民家を会社にした「自然を愛する」出版社。自然や環境、鹿児島、奄美の本を作っています。

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