祝島行き

2月7日、原発関係の集まりに呼ばれて山口に行った。新幹線で行けば2時間そこそこ、あっという間だ。

 せっかくだからと、前日に祝島に寄ることにした。祝島といえば、中国電力上関原発に島民一丸となって闘っている島だ。だが、祝島は遠かった。
 新徳山から柳井港まで各駅停車でトコトコ、柳井港から1日2便の船を待ち、やっと乗船。いくつかの港に寄りながら、着いたころには夕暮れになっていた。
 振り返ると、4㎞隔てただけの対岸に原発予定地が見える。いくつかのブイが浮き、予定地には仮設の建物がある。福島第一原発事故で中断しているものの、中国電力は決してあきらめたわけではないことが見て取れた。

 港のある集落は、狭い路地に家がひしめき合っている。鹿児島の漁村でもよく見る風景だ。

 でも、ゴミ一つ落ちていない。もよおしてきたので、泊めてくれるお宅の主人に、歩きながら「立ち小便はだめですよね」と聞くと、即座に「ダメ!」。仕方がないのでお宅まで我慢した。

 そういえば、港の前の喫茶店で「タバコは?」と聞くと「外ならOK」。夕食をとった食堂も「禁煙です」。ひょっとして泊めていただくお宅もそうかと怯えながら尋ねると、案の定「外」。タバコ3連敗だった。
 食堂で出会った若者も、明日は朝が早いので、と早々に引き揚げていく。朝3時だかに起き、島中総出でヒジキ刈りだという。この日は大潮。干潮の時は大きく干上がる。干潮は1日2回ある。この時期は、同じ大潮でも、夜の干潮の引きが大きい。

 こっちも朝一番、6時45分の船に乗るので、深酒はできなかったのだが、日本中が崩れていくこの時代、律せられた島、という印象を強く持った。

 ヒジキと言えば、先日、小社が刊行した『海辺を食べる図鑑』にも掲載されている。南大隅には漁協名の「ヒジキ獲るな」の看板がある。ヒジキを生業にしている漁民がいるのだろう。そんなところで獲ってはいけない。

 鹿児島市でも、海岸のテトラやわずかに残る磯にヒジキが元気よく生えている。出荷するほどはないし、獲っている漁業者なんか見たことない。だが、試しに市漁協に電話で尋ねてみると、海藻類では、ワカメとヒジキに漁業権が設定されている、と言う。
 市漁協がどう対応するのかは聞かなかったが、そんな場合、見過ごす漁協もあるし、文句を言うところもあるらしい。

 なんだか腑に落ちない。弁護士に聞いてみたら、漁業実態のないところなら漁協も文句は言わないだろう、とのこと。ちょっと安心した。

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鹿児島市の郊外にある民家を会社にした「自然を愛する」出版社。自然や環境、鹿児島、奄美の本を作っています。

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