たい肥2トン


 5月に入ると、田んぼの周りが急に生き生きとしてくる。
 先日は会社への道すがら、軽トラが何台も連なって停まっていた。年寄りたちが、何やらしている。用水路の点検を兼ねた草刈りだ。
 オー、田植えの季節がやってきた。

 1反5畝のわが合鴨の田んぼには、2トンのたい肥を撒いた。と書けば、わずか1行だが、軽トラにズシンとくる山盛りのたい肥を積んだまま、田んぼに入るのは勇気がいる。
 何日か晴天が続いて乾いたように見えても、完全には乾ききっていない。去年は、案の定はまってしまい、通りがかりの年寄りに腰も折れよというほど押してもらって助かった。
 通りがかりのもう一人は、こりゃダメだとさっさと見切りをつけて、牽引するためのトラクターを手配してくれた。緊急出動のトラクターが到着する前に脱出できたので、途中で引き返してもらったが、格好悪いことこの上なかった。

 去年の轍は踏むまい! ゆらゆら揺れながら田んぼの奥まで進み、半分くらい撒いたところで動かそうとした。空回りだ! まずい。すぐにエンジン停止。安全策を取って、荷台を空にすることにした。
 軽トラ周辺にたい肥を撒き散らせば短時間に終わるのだが、離れたところまでシャベルに乗せたまま運んで行って撒くのは、たいそう手間がかかる。何とか1回目が終わって、たい肥積みに戻ったら、橋口さんがバックの方が動きやすいと教えてくれた。

 そうか、やってみよう。
 2回目は、3分の1撒いたところで、ちょっとバックしてギアを切り替えて前に進む。わだちができているから、バックも前進もやりやすいのだ。その勢いでもっと前へ。おっ、今度は大丈夫。この要領だ。
 というわけで、2日目、3回目、4回目と、はまることなく撒き終わった。だが2トンだ。利き腕の左腕と左肩、左側の背中がくたびれ果てた。3時から始めたのだが、汗みどろになって終わったのは、日も暮れようとする7時前だった。

 そのころになると、脇の農道に見慣れない家族連れの車が1台、また1台と通りかかる。
 そうなんです。この七窪の谷は、知る人ぞ知る蛍の名所なんです。世話好きの町内会長さんが、谷に誘導する案内板を立て、休耕地を駐車場に仕立て上げている。

 実は何年か前、この谷を何とか売り出そうと考えたこの会長さん、市に掛け合って道路改修させたおかげで全滅の危機に立ち至った、あの蛍だ。何とか回復してくれたようだ。よかった。

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鹿児島市の郊外にある民家を会社にした「自然を愛する」出版社。自然や環境、鹿児島、奄美の本を作っています。

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