トコロ天国

 

 昨年刊行した『海辺を食べる図鑑』。順調に売れているのだが、現在続編を準備中だ。重要な種類がちょこちょこ漏れているから、それを埋めなければならない。その一つがトコロテンの材料となるテングサ類の代表選手、マクサだった。今年4月の大潮、祇園の洲で待望のマクサに出会った。

 

 

 早速、持ち帰り、洗って干すこと1週間、立派な乾燥マクサに生まれ変わった。

 

 私は会う人ごとに海藻を食べるように勧めてきた。毒はないの?と聞かれるが問題ない。野草と一緒で、ちょっと噛んでみて、苦かったり、石灰質を含んでジャリジャリしたりする奴はやめておく。なにせ、海のミネラルを集めた栄養の豊富さは、陸の野菜類とは比べ物にならない。もちろん、それぞれの海藻独特の風味や歯触り、舌触りも楽しめる。


 だが、なんといっても有り難さを実感できるのは、海藻の茹で汁だ。たいていの海藻は、一旦茹でて、その後、サラダやパスタ、汁物の具にしたり、和え物にしたりする。その茹で汁が旨いのなんの。少し塩をするだけで極上のスープに仕上がる。


 これで終わりではない。だれもが驚くのは翌朝だ。なんとスッキリ!便が、通常の倍以上。腸の壁にくっついたゴミを丸ごと大掃除してくれたに違いないと思ってしまう。水溶性食物繊維の偉大なる働きだ。

 

 

 トコロテンも、海藻の茹で汁を固めたもの。材料はテングサ類を使う。
 さあ、トコロテンに挑戦だ。


 乾燥したテングサを一掴み鍋で茹でる。15〜30分。汁に少しでもとろみを感じたら大丈夫、ガーゼで濾してどんぶりに受ける。 ガーゼがなければ、金網の味噌こしで十分。常温でも固まるが、粗熱をとって冷蔵庫に入れて固めればおいしく出来上がる。

 


 食べるときは、どんぶりをひっくり返す。それを包丁でザクザク切って、醤油かポン酢で味わう。大きめに切るのがいい。細く押し出す専用の道具(天突き)なんかいらない。包丁で切れば十分。

 

  


 一度茹で汁を濾した残りのテングサも、まだ十分使える。二度目、三度目、これでもかというくらい茹でる。

 濃い茹で汁で固めに作ると、風味満点になる。極上の自家製トコロテンだ。うん、旨い。思わず唸ってしまう。

 

 

 これを食べると、市販のトコロテンは、固まるぎりぎりまで薄めて増量しているのではと、疑ってしまう。今年の夏、何度トコロテンを作っただろう。


 テングサはそこらの「道の駅」でも売っている。製品のトコロテンと同じ値段のテングサで、10倍のトコロテンができる。自分で作らない手はない。

 

 


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鹿児島市の郊外にある民家を会社にした「自然を愛する」出版社。自然や環境、鹿児島、奄美の本を作っています。

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