蜂が入った

 

 いい天気が続いている。まさに春の陽気だ。


 私の1反5畝の田んぼはレンゲが満開である。田んぼに続く谷の小道には、ウマノアシガタの黄色い花が咲き乱れ、林の縁には、マルバウツギやハクサンボクが白い小花の塊をいくつもいくつも見せている。
 日陰にはムラサキケマンの花も見える。おっと、こいつは毒草だ。先日花をつけていない柔らかそうな若葉を、セリと間違えそうになった。くわばら、くわばら。

 

 会社の庭には、この下田に移転した13年前に木市で買って植えた八朔が、白い花芽をいっぱいつけている。かなり膨らんでいるから、あと1週間もすれば花盛りだ。
 5月になれば、トリ小屋にヒヨコが入る。去年5月に知り合いの農家から分けてもらった黒ドリは、心配していた通り10羽のうち8羽がオスというさんざんな結果だった。オスは全部食べ尽くし、やっと卵を産むようになった残る2羽のメスもタヌキに持って行かれた。今は無人状態だ。

 

 昨年の内に、下田農協にオス2羽、メス10羽を注文しておいた。こちらはヒヨコの鑑定士が見るからハズレはない。
 ヒヨコが入るのが楽しみでならない。と、トリ小屋の点検がてら、その奥の林の中に置いていた蜂の巣箱を覗いてみた。なんとニホンミツバチが入っているではないか。100匹以上がブンブンしている。やったー。偵察の蜂ではなく、女王蜂を含む群れ本隊がしっかり居を定めてくれたようだ。

 

 昨年は、せっかく入ってくれた群れが、夏前に逃げてしまった。林の向こう側にある空き地で、おっさんが草を燃やしていた。運悪くその煙が巣箱の方に流れてきたのだろう。蜂は極端に煙を嫌う。

 以前、何も知らずに巣箱の近くでバーベキューをしてしまった。その翌日に蜂は集団で脱走した。

 

 発見したその日、風が強くなったけど大丈夫か、日が雲に隠れてしまったけどまだいるかい、夕方になって気温が下がった、日が暮れかけた、とほぼ1時間おきに覗きに行った。今でも、2、3時間おきに見に行っている。無地に居ついてくれ。

 

 人の世はそれぞれに欲があり、思惑があって、いろいろ面倒なことが多い。時には思いもかけない裏切りや恐ろしい仕打ちに晒されることもある。ダメージは尾を引く。

 だけど自然の世界は、突然蜂が逃げたり、木の実が成らなかったりと、がっかりすることはあるけれど、それだけだ。春だ、穏やかな光を浴びて、さあ野に山に出かけよう。

 


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鹿児島市の郊外にある民家を会社にした「自然を愛する」出版社。自然や環境、鹿児島、奄美の本を作っています。

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