日経が植物図鑑の著者を紹介

 

 つい先週の金曜日、12月8日、朝から九州の植物大図鑑の注文、問い合わせの電話が続きました。日経新聞朝刊の最終面・文化面に、著者の平田浩さんが登場していたのです。

 

 45歳から植物画を描き続け、1500種を描き終えたときには39年が経ち、なんと84歳になっていた。まるで浦島太郎のようですが、平田さんは、植物を愛する人が座右に置く図鑑を残すことができたのです。

 

 「一心に描いていると、まるでペン先で植物が生き返ってくるような気がしてくる」と語る平田さんは、今も描き続けています。
 記事は、植物大図鑑『図解 九州の植物上下巻』誕生までのいきさつを紹介しています。

 

 

 

 

 まだ未購入で、購入をご検討の方には、下記注文票を付けておきます。
 ―――――――――――――――――――――――――――――
注文票
書 名:『図解 九州の植物 上下巻』
セット数:定価1万8000円+税(  )セット
氏名:
郵便番号:
住所:
電話番号:
メール:
公費の場合の請求先:
―――――――――――――――――――――――――――――


山分けの論理

 

 南日本文化賞の副賞50万円の大半が、シロアリ退治費用に消えた。いくらも残らないお金の使い道として、みんなで美味しいものでも食べに行こうかと提案したら、現金の方がいいという。まったく、もう。
 育児休業中のスタッフにも分けたのだが、金額が少なかったためか「おこぼれに感謝」と返ってきた。おこぼれではなく、山分けの一山だったのに。「おこぼれ」と「山分け」は、天と地ほども違う。

 

 山分けといえば、懐かしい思い出がある。私は小学校の4年まで市来に住んでいた。吹上浜の北端に位置する広い砂浜が格好の遊び場だった。打ち寄せる波と競争しながら、砂の船を作ったものだ。

 

 そんな時、地引き網が始まることがあった。小さい舟が網を沖にぐるりと入れていく。その網の両端の綱を引いていくわけだ。
 引いているのか、ぶら下がっているのか分からないような小学生も、引き手に加わった。手で直接引くわけではない。紐の片方を腰に巻き、もう片方の紐の先に結んである拳くらいの石を引き綱に絡めて、波打ち際から後ろ向きに海岸を上っていく。かなり上の、綱を丸く束ねてあるところまで引いたら石をほどき、波打ち際まで戻って石を絡め、また、後ろ向きに上っていく。繰り返している内に、やがて網が見えてくる。

 

 大人たちも緊張するときが来た。大きい魚が脱出しようと走り回り、飛び跳ねる。網と砂地の間に隙間があれば、そこから逃げてしまう。そうはさせじと隙間を埋めていく。最後の詰めだ、息が抜けない。引き手にも力が入る。ついには袋状の網に、魚がいっぱい入って引き揚げられる。

 

 それから獲った魚の分配が始まる。砂の上に人数分、同じくらいの大きさの魚の山が作られる。男も女も子どもも関係なく、一山ずつ持って帰るのだ。
 1匹だけ入ったタイとか、どでかいエイといった特別な魚は、舟や網の持ち主であろう、彼らの特典だった。
 いずれにしろ、この時「山分け」というものを知った。この一山の魚が母の手で料理され、一家の夕餉を飾ったとき、何とも誇らしく思ったものだ。小学生にして、気持ちだけは一人前の海の男になっていた。

 

 もし、働きに応じて配ろうとすれば若い青年など、子どもの何倍にもなっていたはずだ。でも、そんなに食べられないし、冷蔵庫などなかった頃だから腐らせるだけだ。
 「能力に応じて働き、必要に応じて取る」という分配の理想形を、大人になってから教わるのだけど、海辺の村では、ずっと昔から当たり前のようにやられていたことだった。


福招く田の神様

 

 南方新社を設立してすぐのころから、誘われて有機農業祭「生命のまつり」の実行委員をやっている。
 今年は11月26日(日)、鹿児島駅裏のイベント広場「かんまちあ」である。32回目だから、けっこうな人気で続いてきたことが分かるでしょ。

 

 私の係は振る舞い酒(焼酎)の番人。もちろん振る舞いながら自分でも飲む。正月以外で、唯一朝から飲んでいい日と決めているから、祭りの終わる4時ごろにはフラフラ。毎年完全に出来上がってしまう。
 タダで思う存分飲めるから、みんなも電車かバスで遊びに行こうね。

 

 それはともかく、この「生命のまつり」には神様がいるって知ってた? 大きなクスノキで拵えた田の神様だ。会場では一番いいところから祭りを監督してもらうのだが、祭りと祭りの間の一年間は、実行委員の持ち回りで預かることになっている。

 

 今、南方新社が田の神様をお預かりしている。毎朝、みんなを玄関前に鎮座している田の神様が迎えてくれる。不思議なことに、預かった実行委員のだれもが「やっぱり、いいことが続くね」と声をそろえる。もちろん、南方新社もいいことが続いている。

 

 

 田の神をお迎えした昨秋以来、出した本はことごとく黒字だ。何冊かは印刷費も回収できない悲惨な結果になるのが常だが、それがない。

 

 小社のスタッフに亀好きな新婚さんがいる。金製の小さな亀を奉納した彼女はめでたく懐妊し、8月無事男児を出産した。これも田の神様のおかげと、彼女はたいそう感謝している。

 

 10月3日には、南日本文化賞という権威ある賞を下さると連絡を受けた。南方新社は創業以来23年間、500点、120万冊の本を出した。よく頑張りました、というご褒美だ。
 11月1日、城山観光ホテルで贈賞式があるという。おっと、こりゃあ大変だ。着ていくものがない。よれよれのブレザーしかない、と思ったけどあったのですね、礼服だ。最近葬式でしか着ないけど、白いネクタイを締めればバッチリですね。

 

 さて、ここだけの話、でも言っていいのかな、なんと副賞50万円も貰えるらしい。みんな、内緒にしててね、取り消されたら困るから。
 9月、台風に備えて会社の雨戸を閉めたら、シロアリがびっしり張り付いていた。放っとけばこの豪邸がやられてしまう。退治しようにも業者に払うお金がない。どうしようかと途方に暮れていたところだ。本当にありがたい。

 

 この福を呼ぶ田の神様、11月26日「かんまちあ」にいるから、みんなもご挨拶してくださいね。きっといいことあるから。



プロフィール

南方新社

南方新社
鹿児島市の郊外にある民家を会社にした「自然を愛する」出版社。自然や環境、鹿児島、奄美の本を作っています。

南方新社サイト

カテゴリ

最近の記事

アーカイブ

サイト内検索

others

mobile

qrcode